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★ ★ ★
ガチャガチャ
「アホですってぇぇ!! さっきから聞いて置けば、貴方、何様のつもり――」
バタンッ
ルークは部屋へ逃げるように入って行った。さらに、ガチャリとドアの鍵もかけるの音も聞こえた。そして辺りは嘘のように静かになる。
――なんなのよっ、アイツッ! 人のことジロジロ見てくる変態のくせに!! しかも何、あの無愛想なのに上から目線な態度? 貴族以外にあんなやつがいたなんて思っても見なかったわっ!!
バタンッ!!
セリーナは怒りの矛先をドアにぶつけた。そうしないと部屋で魔法を乱射しそうだから。
だいたいこの世に変態が多すぎるのよ。
特にお祖父様とか……。ラファエル先生とか……。ログエル(ラファエルの兄)とか……。
はぁ、もういいわ。
さっさとご飯を食べて、お風呂に入って寝よ。
セリーナは鞄を置き、手を洗ってエプロンを着る。今日買った食材で、無難な煮物を作ることにした。
セリーナは料理をすることは好きだ。鼻唄を歌いながら料理に熱中すれば、嫌なことなど一瞬で頭から消えてくれるから。
だが久々に料理を作れた嬉しさから、無意識のうちに野菜を切り過ぎてしまった。
明日の朝食にしても量が多すぎるわよね……。
どうしよう……。
自分の家の屋敷では、料理を作ったらメイドたちが食べてくれたから、作り過ぎるということはなかった。
でも今はメイドもましてや執事もいない。完全に一人だ。
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