散策

29/34
前へ
/353ページ
次へ
 そう自分に言い聞かせたセリーナは、煮物をタッパーに詰める。そして部屋をあとにし、隣のルークの部屋に向かう。  ピンポーン  おそらくアイツは、あたしを見た瞬間ドアを閉めるに決まってるわ。その前に体を無理やり捩じ込まないと……。  ガチャ  開いたっ!  ガッ  よし、成功よっ!   と思って顔を上げると、上半身裸のルークが目の前にいた。鍛えあげられた肉体は美しく、さらに汗が映えることで艶かしいとセリーナは思った。  しかし、セリーナは反射的に襲われると思った。  キャッと叫びドアから離れてしまう。その隙にルークはドアを閉めてしまった。  なんで離れたのよ、あたし!  アイツは魔法が使えないんだから本気を出せば勝てるじゃないの。  でもラファエル先生も魔法はあたしより出来ないくせに、あたしより圧倒的に強いわね……。  ああ、もうっ!!  こうなったら強行突破よ!  とりあえずドアをバンバン叩く。まだガチャリと聞こえてないから鍵は閉めていないはず。  ガチャリ  あ、かけられた。それなら【エンフォース】を使ってドアを叩きまくるだけよ! 「ここを開けなさいっ! じゃないと一晩中ドアを叩きつけるわよっ!!」  と力の限り叩き、叫ぶ。
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

198人が本棚に入れています
本棚に追加