散策

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  ★  ★  ★ 「べ、別に受け取って貰いたいとか微塵も思ってないから! 勘違いしないでよね!」  俺が七セット目の素振りの後半に差し掛かっているとき、そんなセリーナの声が聞こえた。かなり大きい声で言うものだから、何事かと思い一旦素振りを止める。  寝言にしてはでか過ぎるよな。声かけてみるか。 「起きてるなら早く出てこいよ。こんなところに、いつまでも居たくないだろ?」  静寂な空気の中でハッと息を飲む声が聞こえる。  数秒後、セリーナは意を決したような顔で出てきた。手にはコップとよく分からない何かを持っている。 「その、ありがと……。これ、お礼と思って取っといて、夕飯の余り……」  そう言ってセリーナは持っていた何かを俺に渡した。貰ったものの中身を開けるとそこには煮物が入っていた。 「貴族なのに……結構庶民的な料理つくるんだな」 「う、うっさいわねっ! 庶民的で何が悪いのよ! 貰えるだけ感謝しなさい!!」 「ああ」 「なによその反応は! 貰ったたんだから、なんか言うことあるんじゃないの!?」  まさかお礼を言えと言っているのか? お前が俺にお礼の変わりにくれたものなのに。とんだ理不尽だ。 「何もないな」 「な、なんですって――!(ムグッ)」  怒鳴り散らしそうだったので、あわてて手でセリーナの口を塞ぐ。 「もう夜も遅い。怒鳴ると迷惑になる。用がないならさっさと帰った方が良い」
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