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「大丈夫か?」
「は、はい。ありがとうございます」
「ははっ、気にすんな。俺アレン・レナソル。君は?」
「アスナ・メルクスと言います。本当にありがとうございました」
普通に考えれば助けてくれたとはいえ、たった今襲われたのだから多少の警戒はするだろう。しかしアスナは信用した。直感的にこの人は大丈夫だと信用したのだった。
「アスナ……」
アレンが自分の名前を意味ありげに呼んだので、首を傾げてしまう。
「な、なんでもねぇ……。それより敬語って癖?」
「いや……」
「じゃあさ、じゃあさ。俺に敬語使わなくていいよ。なんか堅苦しいし」
「わかりました」
「……使ってんじゃん?」
「あっ!」
「なにコレ。二次でありがちな展開。少年時代思い出すわー」
「にじ?」
「あっ、こっちの話、こっち話」
アスナはこうしてアレン君と喋っているのが楽しく、気絶した二人を起こしてからブラブラと学園を一緒に歩き回った。途中ベンチで寝ている人もいたからまだまだ時間に余裕があると思ったら、入学式が始まってたという落ちだ。
しかしそのおかげでルークと会えたのだ。アスナにとってルークは、無愛想に見えて根は優しいという印象だ。つまりルークのことはそこまで嫌いじゃない。
アレンの印象は言うまでもない。危ないところを助けて貰ったのだから。
――あんな二人初めてだなぁ。アレン君はいじめから守ってくれたし。ルーク君はまったく軽蔑の目を感じなかった。
一人感慨に耽るアスナであった。
ちなみに寝ていたのがルークだとは気づいていない。
「おおっ!」
そして現実に戻り、ルーク部屋からセリーナが 出てきた。沸騰寸前のヤカン並にカンカンである。行動も顔も。
「それじゃあ、そろそろ帰るね」
「おう」
ルークとセリーナの争いを見終わったので、アレンの部屋を出て自分の部屋に戻るアスナ。食事と入浴はすませていたので、すぐに意識はベットに向かっていった。
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