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そこでハタッと脳が覚醒する。目を開けると六時前を時計は指していた。
またか……。
寝ると毎回のように同じ夢を見てしまう。何も出来ず、眺めておくことしか出来ない夢の中。あの場での俺はただの傍観者だ。
そう言えば……そろそろ命日だな。ナイトの。父さん母さんの。村の皆の。
墓参りしたくても墓参りは出来ない。なぜなら墓がないから。アイツらによって俺以外の全員は焼け死んだ。骨も残らないまでに。
だから毎年なにもしない。祈りもしないし、勿論、哀しんだりもしない。ひたすら刀を振るうだけだ。
シャワーを浴びて着替える。朝食は昨日セリーナから貰った煮物のあまりを食べた。思ったより全然おいしい。
部屋から出て鍵をかけ、リフトに乗り、寮から出る。そして学校まで歩いて行く。
「おーい、ルーク!」
振り返るとアレンとアスナがいた。
「おっす! ルーク!」
「おはょ、ルーク君」
「ああ、おはよう」
適当に挨拶し返す。二人は顔を見合せたと思うと、急にニヤニヤし始めた。
「昨日見ちゃったんだよなぁ、俺ら」
「うん、見ちゃっただよね」
「何を?」
「「ルーク(君)が銀髪の可愛い娘を自分の部屋に運んで行ったところ」」
「……ああ、アイツか」
多分セリーナのことだろう。あのとき視線を感じたのはこの二人のせいか。
「ルーク君は奥手の方かと思ったのに……結構強引なんだね」
「なぁルーク。チョメチョメ、ヤったのか?」
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