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★ ★ ★
眠い。物凄く眠い。
眠いという感情を抱いたのは久しぶりだ。新鮮に感じるものの、眠いものは眠い。
今の授業は四限目の歴史の授業。いつしかの禿げ頭の教師が淡々と話している。前半寝ていたからイマイチ話がわからない。だが英雄たちの話をしていることがわかった。
「シドとは、この世に三人いる天才魔導士たちのことだ。一応人間だが寿命は平均の10倍は越えるほどある」
スゲー長生きだな。
「シドたちはマキに無限に干渉でき、ケルム切れになることはない。そのため大戦で活躍した英雄たちに含まれる」
ケルムとはマキに干渉し体内に取り込める、いわば魔力のようなものだそうだ。つまり魔法を使い過ぎると、ぶっ倒れるらしい。……一限前の授業で聞いた。
「だが大戦で活躍した主な英雄は二人だ。一人目はレイン・ジェルザード。魔法こそ突出していなかったが、剣術と未知の力で敵を圧倒したといわれている。彼はその後安らかに眠ったそうだ」
未知の力……。セブンスセンスのことだろうか。
「そしてもう一人が名前不明のエルフだ。皆も知っていると思うが、十数年前に北国ゲル=オーランドがエルフの森を襲い、エルフは絶滅したとされている。そう! 人間は恩を仇で返してしまったのだっ。
……だが、英雄のエルフは、今も生前しているとの噂だ」
師匠の知り合いにエルフがいるんだが……。
というより、俺も色々と世話になった人物だ。
「ちなみにレインは生前にこんな言葉を残したそうだ……『英雄は三人いる』と。その審議は定かではないが、いるならなぜ隠す必要があったのか不思議だな……」
そこでピーンポーンパーンポーンとチャイムが鳴り、号令をしたあと教師は出ていった。
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