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適当に食材を購入し帰途についた。まだ夕食まで時間があるので筋トレをする。
そう言えば、魔法使えたら強くなれるだろうか。もし今より強くなれるなら、学んでみるのも悪くないかもしれない。
しばらく体を動かしたあと、飯を食って外に出る。リフトで屋上まで行くと、そこで素振りをした。
部屋に戻るとセリーナと遭遇した。部屋が隣と言うのはつくづく運がない。
特に気にすることなく素通りしようとすると、ガッチリと肩を捕まれた。
「貴方、今何してたのよ?」
俺は喋れないと目で訴える。
「喋って良いから答えなさい」
「屋上で素振り」
「呆れた……。また刀振ってんの? とんだ修行バカね」
人が真面目に修練してるのに、ストレートに酷い物言いだ。そこまで言わなくてもいいだろうに。
「お前こそ何してたんだよ」
「あたしは貴族がらみで用があっただけよ。てっ、なんで貴方にこんなこと教えなきゃいけないのよ!」
「俺がお前が言うことなんか知るか」
「前々から思ってたけど、あたしにはちゃんとセリーナって名前があるんだから“お前”ってやめなさいよっ!」
「はいはい」
俺は空返事を返す。会話終了と思い部屋に入ろうとしたが、向こうはまだ話が終わってなかったらしい。今度は首を掴んできた……。かなり強めで俺の首を締め付ける。
「待ちなさい」
「おま、ちょっ……こ、殺す気か!?」
「うっさいわよ。……一応聞いとくわ。あたしのラスタークって名字、知ってるかしら?」
「ああ。四大大貴族の一つだろ」
「分かっててあたしのことお前って言ったり、無礼な口調で話したの……?」
「ああ。俺はこの国の王族にすら、この口調で話すだろうな」
「そう……。それと次あたしのことお前って言ったら殺すから、覚悟しときなさい」
「はいはい」
悪いが名前を呼ぶ気なんか毛頭ない。
そして俺は部屋に入り夕食と風呂を済ませ、走る支度をする。
玄関を飛び出し、そのまま夜道が朝道となるまで走り続けた。
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