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翌日。
俺とアレンは必要最低限のことしか話さなくなった。
周りもそれなりに気づき、仲直りをさせようと頑張っていたが勿論意味はない。別に喧嘩をした訳じゃないからだ。
今は昼休憩に入ったばっかり時間。素振りをするために、ここ屋上に来ていた。
屋上に入る入口の上で、素振りを始める。ここならもし屋上に誰か来ても、身を隠せば見つからないだろう。あまり人に修練をしている姿を見られるのは、好きではないのだ。
ひたすら素振りをしていると、俺の第七感に人が来る反応があった。急いで身を隠す。
「ちょっと、やめなさいよ……! ぶっ飛ばすわよ!!」
「おおーこわ。でもボクたちの方が強いから無駄なんだよ」
「そうでしゅね。君もそう思うでしょ、ラスターク嬢?」
「あたしが二組の奴らなんかに負けるわけないでしょ!」
モヤシと肉団子か……。
最初に喋った男はモヤシみたいな体型をしており、金髪の茸みたいな髪型をしている。
次に同意した奴は金髪を七三にわけ、プヨプヨの頬が脂でキラリと光っている。それはまるで肉団子を連想させた。
そしてどちらも明らかに貴族だ。
「まさかラブレターなんて初歩的な罠に引っ掛かるなんて……ラスターク嬢は意外と乙女なのかな。屋上に来たところを無理やり引っ張る。ボクながらいい作戦だったな」
モヤシがニタニタしながら言う。
「黙りなさい……!」
「それとでしゅね……屋上にはあらかじめ結界と重力魔法を仕掛けてあるんでしゅよ。だから――」
肉団子が手を振るうとラスターク嬢ことセリーナが、突然何かに押し潰されるようにしりもちをつく。かろうじで上半身を起こしているのが見てとれた。
「なによ……これ。体が全然動かないじゃない……」
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