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しばらく日数が経つと、ジンから連絡が入った。日曜日の今日が依頼日だそうだ。とても憂鬱である。
「さてと……」
とりあえずジンがいるギルドへ向かった。理由は集合場所がわからないから。生徒によって変わる依頼なんてとても面倒だ。
ギルドに着くと、当たり前だがジンが待っていた。
「おっ、来たな」
「ああ」
「調子はどうよ」
「んなことはどうでもいい。依頼場所はどこだよ?」
ジンはそんなに早くこの依頼を済ましたいのかよ、とかなんとか言いながら、依頼内容が書かれている紙をペラペラとめくった。
「おお、あった、あった。場所は……神域だな」
「……冗談だろ?」
神域といえば、俺が今いる中央大国エンティークと北国ゲル=オーランドの国境にある渓流だ。昔はエルフが住んでいたが、十数年前に人間によって滅んだ、と授業で習った。
今は魔物たちの棲みかになっており、俺も昔は依頼でよく足を運んだ場所だ。亡き師匠との出会いも神域である。
神域は危険と見なされ“現在”入ることが出来るのは、ギルドランクCランク以上の人及びBランク以上の同伴か、国王の許可を貰った衛兵たちのみなはずだ。
その事をジンに聞くと、お前いんじゃん、と言われた。確かにそうなのだが少々不安もある。
「まあ、学生の方も選(え)りすぐりの強い生徒六人を集めたそうだから大丈夫だろ」
「そうか……」
「あっ……。依頼は夜だから」
「それを先に言え!」
いつも肝心なことを最初に言わないジンに対し、俺は鞘でジンの頭を思いっきり叩いた。
ちなみに現在昼である。
なんかムカついたのでもう一度叩いた。
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