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「セリーナよ。あたしには気安く話かけないちょうだい。貴方と関わるつもりは微塵もないから」
セリーナからすれば初対面な筈なのに、よくそんな棘のある言い方ができるなと思ってしまう。
セリーナは銀髪をポニーテール(結構レアい)に結び、上にパーカー、下にショートパンツをはいていた。
春上旬なため、上はともかく下がとても寒そうだ。俺は雪のように白い足を繁々と見ていると「変態っ!」とセリーナに罵られてしまった。寒そうだと思って見てただけなのに……。
「わたくしはテュカと申しますわ。敬語口調はお気に為さらず。今回は短い間ですが、よろしくお願い致しますわ」
とても丁寧な言葉遣いのテュカは、金髪ウェーブと言動で生粋の貴族のように結び見えるが、目が黒色なため、生粋の貴族という訳では無さそうだ。
しかしどっかの大貴族とは大違いである。
テュカはシルク製のビスチェ(肩ひものない両肩を露出した服)を着ていた。シスルと同様に戦闘には向いてなさそうな服装たが、一応スカート部分は膝まででカットされているので、多少は動きやすいようになっている模様。
「僕はロイ。よろしくね……」
どこか自信なさげに言うロイ。深緑の髪の色で奴国の人間だと知られていると思って、気が小さくなっているのだろう。
ノースリーブのアンダーシャツに、短パンをはいて寒そうだが、平熱が他の国の人より高いので全然平気そうだ。
逞しい腕に、鍛えられた胸筋や腹筋がピッチピチのアンダーシャツから垣間見え凄い迫力だ。
ちなみに俺は黒の長ズボンにTシャツを着て、その上に革製の上着を羽織っている。
シスルとは真逆の全身真っ黒だ。別に喪服という訳ではなく、返り血が散っても目立ちにくい、地味目な服を着るようにしているのだ。
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