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「バカかお前ら! Aランクの魔物だぞ! まずは逃げることを最優先としろっ!」
俺はアレンとシスルを引っ張りながら怒鳴った。
「う、うるさい。ボクに命令するな!」
「そ、そんなに怒んなよ、ルア。皆で協力すればなんとかなるって……」
『ガルルルルルァァァァァァアアアッ!!』
急に叫んだかと思うと、アフリートウルフは喉を少しだけ膨らまし、人の体くらいありそうな大きな火球を放った。
俺は背中に熱を感じ、後ろを見ずに二人を無理やり引っ張って回避したが……。もし当たっていたら、今頃、焼き豚に引けをとらない姿になっているだろう。
「あれを見ても同じことが言えるのか!」
俺は叫ぶと同時に後ろを見やる。二人も習って後ろを見ると、小さい隕石が落ちたんじゃないか、と錯覚するほどのクレーターができているのに気づいたようだ。
地面が焦げていたという生易しい物ではなく……。
地面が溶けていたのだ。
これにはアレンもシスルも異存はないようだ。ただコクコクと首を縦に振っている。
そして前にいる四人に追い付くべく、アフリートウルフから少しでも遠ざかるべく、走るスピードをあげたのだった。
しかし俺はこのとき、シスルとアレンの手を放したことが間違いだったのかもしれない。
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