ギルドの依頼

17/33
前へ
/353ページ
次へ
「とにかく足を動かせ! 後ろを振り返るな!」  皆エンフォースという身体強化魔法を使っているのか、そこそこのスピードが出ている。しかしいつまでもつかわからない。ケルムは無限にある訳じゃないからだ。 「きゃっ!?」  ベタな悲鳴を誰かが上げたかと思うと、セリーナが木の根に足を捕られて転んでいた。  めんどくせー!! 「皆先に行け! コイツは俺がどうにかする!」  俺は他の五人にそう伝えながらセリーナを抱える。皆心配そうな顔で一度は足を止めてしまったものの、アフリートウルフが雄叫びを上げたことによって、またすぐに走り始めた。  とりあえずセブンスセンスで足を強化して跳躍する。着地地点は木の枝。そこからまた跳び跳ねて枝に着地を繰り返し、木の上を高速移動した。 「きゃあぁぁぁぁぁああああっ!」 「うるせーな! 黙ってろ! 落ちやしねーから」 「無理! 高いとこ無理ぃ!」 「じゃあ目つぶってろ」  こんなやつに構っている暇はない。アフリートウルフは鼻が相当良かった筈だ。アレンたちより俺らの方がアフリートウルフに近かったから、恐らくこっちを追いかけて来ている。  試しにセブンスセンスで気配を探ると、やはりここから一直線上の真後ろにいた。  アレンたちはどっちかというと聖域の“奥地”の方へ向かって逃げていた。……早く合流しないと。 「おい!」 セリーナに呼び掛ける。 「なによ!」 「匂いを消せる魔法か、体臭を消せる魔法は使えるか?」 「そんなにあたしの体臭が臭うのね……!」  いや、ボケなくていいから! 「使えるか、使えないのか」 「そんな需要の少ない魔法、使えるわけないじゃない!」  この状況かならかなり使えるのだが……。アフリートウルフ撒けるし。と考えていたそのとき――  ザアァァァァァー。  そんな一定のリズムで流れる音が聞こえてきた。  この音はまさか―― 「滝だ!」 「ふえっ!?」
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

198人が本棚に入れています
本棚に追加