ギルドの依頼

27/33
前へ
/353ページ
次へ
 するとそこで、アレンが俺とアフリートウルフの間に駆け込み、魔法を放った。 「【superior・シャイニング】」  アレンは詠唱せずに目映い光を手に宿らせ、一メートル強サイズの光球を投げた。その光球のスピードは目を剥くもので、かわされることなく着弾した。 「無詠唱の上級魔法……」  そんなセリーナの声が聞こえ、そちらを見やると、明らかに動揺していた。戦闘中に動揺されるのは困るのだが、今はアフリートウルフの相手をしなくてはならない。 「待ってルア君。【inferior・キュアレイ】」 「……ありがとう」  アスナに感謝の意を述べると、俺はアフリートウルフに向かって駆け出した。もう血は止まっている。俺は全力の上段斬りを繰り出した。  怯むアフリートウルフ。反撃しようと俺に牙を向けて来たが、すかさずアレンの光球が飛んでくる。良い援護だ。  さすがにイライラし始めたのか、呻(うめ)きながらアフリートウルフは、火球ブレスを放つ予備動作をした。これを防ぐすべはない。  どっちに撃つ? 俺か、アレンか?  そして火球ではなく、いうなら火炎放射のようなものが放たれた。……鼻から。  二つの穴から出た火炎放射は、ちょうど俺とアレンがいるところに来た。  えぇぇーっ! と思いつつも、咄嗟に回避する。アレンも俺同様回避していた。  しかし、アレンが空中に回避したのが悪かった。  予想通り……にはなって欲しくなかったが、アフリートウルフはアレンに向かっていった。さっきのブレスをアレンに遠ざかる形でかわしたので、助けに間に合わない。  アレンもまずいと思ったのか魔法を使おうとするが、アフリートウルフの方がコンマ一秒速かった。  アフリートウルフの突き出された爪が、アレンの顔目掛けて迫っていく。しかしアレンは卓越した反射神経で顔を捻らせかわした。が、頬にできる三本の深い傷ができ、どろっと血が頬を流れる。完全にはかわしきれなかったようだ。そこでアレンは、完成していた魔法を放った。 「【superior・シャイニング】」
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

198人が本棚に入れています
本棚に追加