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するとそこで、アレンが俺とアフリートウルフの間に駆け込み、魔法を放った。
「【superior・シャイニング】」
アレンは詠唱せずに目映い光を手に宿らせ、一メートル強サイズの光球を投げた。その光球のスピードは目を剥くもので、かわされることなく着弾した。
「無詠唱の上級魔法……」
そんなセリーナの声が聞こえ、そちらを見やると、明らかに動揺していた。戦闘中に動揺されるのは困るのだが、今はアフリートウルフの相手をしなくてはならない。
「待ってルア君。【inferior・キュアレイ】」
「……ありがとう」
アスナに感謝の意を述べると、俺はアフリートウルフに向かって駆け出した。もう血は止まっている。俺は全力の上段斬りを繰り出した。
怯むアフリートウルフ。反撃しようと俺に牙を向けて来たが、すかさずアレンの光球が飛んでくる。良い援護だ。
さすがにイライラし始めたのか、呻(うめ)きながらアフリートウルフは、火球ブレスを放つ予備動作をした。これを防ぐすべはない。
どっちに撃つ? 俺か、アレンか?
そして火球ではなく、いうなら火炎放射のようなものが放たれた。……鼻から。
二つの穴から出た火炎放射は、ちょうど俺とアレンがいるところに来た。
えぇぇーっ! と思いつつも、咄嗟に回避する。アレンも俺同様回避していた。
しかし、アレンが空中に回避したのが悪かった。
予想通り……にはなって欲しくなかったが、アフリートウルフはアレンに向かっていった。さっきのブレスをアレンに遠ざかる形でかわしたので、助けに間に合わない。
アレンもまずいと思ったのか魔法を使おうとするが、アフリートウルフの方がコンマ一秒速かった。
アフリートウルフの突き出された爪が、アレンの顔目掛けて迫っていく。しかしアレンは卓越した反射神経で顔を捻らせかわした。が、頬にできる三本の深い傷ができ、どろっと血が頬を流れる。完全にはかわしきれなかったようだ。そこでアレンは、完成していた魔法を放った。
「【superior・シャイニング】」
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