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「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!」
「苦しいか? 私は自分の家のためなら息子を傷つけ……“妻を殺(あや)める”ことだってできるぞ」
「――っ!? は、母上を殺ったのは貴様かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!!」
「まったく……うるさい奴だ。呆れて言葉も思いつかん。……まあ良い。今すぐ“前のよう”に戻してやろう」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおっ!!」
「【taboo・マインドコントロール】」
こうしてシスルは前のシスルに再び戻ってしまった。
「はぁ、世話の焼ける息子だ。部屋に“細工”をしておったのにケルムが切れてしまったわ。さすがは禁魔法といったところか……」
シスルの父親、キース・ヴァン・ゼフォードは独り言をぽつんと呟いた。息子を一瞥するとまた言葉を紡ぐ。
「王の意思とはいえ学園などという場所に通い、何かを刺激されて禁魔法が解けたか。今までより厳重注意だな」
その後、キースは執事を呼び、シスルを運ばせる。執事は何も言わなかったが薄々感じ取っているだろう。家の主人は良からぬことをしていると。
キースは再び机にかじりつき、ペンを走らせたのだった。
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