198人が本棚に入れています
本棚に追加
★ ★ ★
忘れていた。全力で忘れていた。
依頼のときは普通に話していたから、特に気を使うことなく過ごせると思っていた。
「…………」
「…………」
現在の授業は武器戦闘学。魔法の使用は原則なしの組み手だ。(互いの同意があれば、エンフォースのみ使用可能)
担当の先生はラファエル、もといラフさん。安定の怠惰の塊であるラフさんは、くじ引きで組み手の相手を決めた。普通は実力で別けるだろうに。
ここまで言えばわかるだろう。そう俺のペアはアレンだった。俺は特に気にすることなく話かけようとしたが、向こうは違った。明らかに警戒しており、腰が退けている。
「…………」
「…………」
つまり、そういうことである。
別に喧嘩している訳じゃないんだが、なぜか気まずい。元はといえば俺が悪い。俺がアレンを半ば脅すようなことをしまったからだ。普通の生徒ならビビって当然だ。
「「なあ……」」
はい、ミスファイアしました。本当にありがとうございます。
しかし持ち前のこみゅ力を使い、アレンが続けざまにショットした。
「そ、そろそろやるか。俺はやるからには本気でやるからな、ルーク」
「あ、ああ」
アレンさん……目がガチです。
学校側から支給された木剣を握るアレンに対し、俺も木刀を握る。手は汗で滲んでいた。
「いくぞ!」
「ああ」
頭の中にモヤモヤとしたわだかまりがある中、組み手を開始した。
俺もやるからには負けてやるつもりはない。
最初のコメントを投稿しよう!