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「も、もしかして図星だったのかよ。ギャハッハッハッ! こりゃ傑作だっ!」
便乗して他の男たちもからかい始めた。最初にからかってきた男は乳房を吸う真似をしている。そこでまた、どっと笑いが起きた。
無論、俺が男たちに徐々に近づいて行ってるのに気づかない。ましてや、ジンが焦った顔していたことなど知るよしもなかった。
「――おい」
俺は自分の低い声を、さらに低音にさせて言った。
「俺に喧嘩を売ってるなら……相手するぞ、くそ酒臭(さけくさ)オヤジ」
「っ! ブハッハッハッハッハッ! ひょろガキが俺様に喧嘩売って来やがったぜ。良い度胸じゃねーか。表に出ろや。買ってやるよ、その喧嘩」
俺は男と一緒に酒場を出た。後ろから野次馬がついてくる。その間(かん)野次馬から「やってやれゴルの兄貴ぃ!」と聞こえた。どうやらこの男の名前はゴルと言うらしい。まぁ、俺にはどうでもいいが。
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