プロローグ

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 魔人たちが住む世界、ジャヌスにて。  北国ローンの首都にあるモルグレード城。  その城の自室で食事をしている最中、扉の方から足音が聞こえてきた。     足音は大きくテンポも速い。おそらく走っているのだろう。  ここで仕方なく食事を中断し、扉からやって来るだろう人物を待っていた。数秒後ノックをするのも忘れ、額に汗を滲ませながら男は報告をした。 「た、大変です、ルーヴァス様。ガルド将軍が自身の部下9人を連れ、内乱を……」  ここで宰相であるカイスは、ルーヴァスが手で制した為言葉を切った。 「場所は?」  「中庭でございます。既に衛兵たちを送らせましたが、彼が相手だと怪我人……いえ、死人が出るのは時間の問題かと」  慌てがちにカイスは答えた。 「わかった。直ぐに向かおう」  するとルーヴァスは、ぶつぶつ何かを唱え、右手をカイスに伸ばした。 「掴まれカイス。中庭に転移する」  突然のことに驚愕した面持ちだったカイスは、遠慮がちにルーヴァスの手を掴んだ。
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