傭兵

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 すると野次馬の方から、興味深い事が聞こえてきた。 「アイツはゴル一家とかいう荒くれものの親玉じゃねーか?」 「ああ、元々ギルド隊員として働いていたが、同僚の女性に暴力を振るったとかで捕まって、解雇されたやつだろ」 「そうそう、たしか当時ギルドランクはBだったはずだ。Bランクは一応上位ランクだから当時のギルド関係者が謝罪していたのをよく覚えているなー」 「マジかよ、Bランクが相手ならあの少年やばくないか。下手したら殺されるぞ」  ほう、俺と同じBランクか。剣の手入れもまあまあだし、実力はありそうだ。あとは魔法が使えるかだな。  俺は思考を働かせていたため、まだ抜刀していない。それを見て男は余計に怒ってしまった。 「てめっ、俺様が抜剣しているのに、武器を構えないとはどういう了見だっ! ぶっ殺してやるっ!」  一応俺が武器を構えるまで待ってくれるつもりだったね。そりゃどうもすみません。  心中で謝罪を述べていると、ゴルは剣を構えながら走ってきた。一般的に見たらそれなりのスピードだろう。しかし傭兵稼業を長年続けてきた俺には、大したスピードではなかった。  ゴルはスピードに乗ったまま、上段から剣を降り下ろしてくる。俺はギリギリまで剣を見ていた。
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