傭兵

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 ニヤッ。  男は一瞬不敵な笑みを浮かべると、男の身体全体に波動のようなエネルギーを感じた……気がした。自分の直感を頼りにバック宙しながら後退する。 「【inferior・ファイアピラー】」  ゴルがそう叫ぶと、炎柱が俺がいたところを通過し、空高くに消えていった。  今のはマジで危なかった。まさか魔法が使えるとは。あんなのポンポン撃たれたらさすがにヤバイ。 「へっへっへっへ。形勢逆転のようだな、くそガキ。俺様に楯突こうとしたのが悪いんだよ」   ちっ、さっきも力を使ったが一瞬だったしな。次はもう少し使わないとマズそうだ。   炎が迫り来るなか、再び力を引き出し、居合いの構えをとる。足の指をくっと丸めておもいっきり地面を蹴った。  周りの世界がこっちに向かって来るような錯覚は、今だに慣れを感じることができない。男が放ってくる炎の魔法でさえ、横を通り過ぎてもほとんど熱を感じないほどのスピードで走っていた。  一瞬で男の間合いに入り、刀を抜く。そして、そのままぶった切った……と言いたいほどコイツがうざかったが、一応、刀を翻(ひるがえ)し峰打ちで気絶させた。  ……そろそろヤバイな。  少し遠くから警備隊と思われる笛の音が聞こえる。その音は野次馬たちにも聞こえたらしく、徐々に散らばり始めた。  いつの間にかゴル一家の連中も消えていた。ちゃんと兄貴は回収して逃げたようだ。
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