傭兵

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 そこでジンはふーと煙草の煙を飛ばす。 「現在エンティークにある魔法学園は、ここ王都ライギスのライギス魔法学園。鉄鉱都市プオーニルのプオーニル魔法学園。最後に商業都市グリウスのグリウス魔法学園の三つだ」  そこでジンは煙でわっかを作る。器用なおっさんだ。そして煙草の火を消しながら続けた。 「ちなみに東にある奴国(なこく)には学園をおける場所がないそうだから、一番近い国エンティークの三つの学園にそれぞれ入学するそうだ」 「そんなことはどうでもいい。どうしたら入学しなくて済む?」  俺は声を低くして尋ねた。だがジンは首を振るだけだった。 「無理だ。王がその気になればギルトなんか一発で壊滅だ。ギルド隊員及び傭兵で十六歳のやつは全員入学しないとギルドは終わりだろう」  俺が無言を貫いていると、ジンは構わず続けた。 「それに俺としてもお前が魔法学園に入学すれば、今より強くなれると思ってる。それに強制入学なんだから、魔法が使えないやつがいても配慮してくれるはずだ」 「だが、それだと……」 「お前の、その、なんだ。“野望”を達成する情報が得られないって言うんだろ?」 「野望じゃない。復讐だ」  俺はむっとして答えた。野望と復讐では意味合いが違う。復讐を望んでいる訳ではない。復讐をしなければならないのだ。必ず。 「俺は復讐って言葉が嫌いなんだよ。その年でそんなものに振り回されてたら、人生、棒に振るぞ」
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