プロローグ

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 カイスがルーヴァスの手を掴んだ瞬間、ルーヴァスは手で印を結び、景色は変わって二人は中庭に転移していた。  そこで最初に二人の目に飛び込んで来たのは赤黒い液体だった。中庭の芝生を赤黒く染め、月明かりに反射している光景はまさに地獄。無論液体の正体は紛れもなく……血だ。  衛兵はほぼ全滅しており、残っている衛兵は敵と同じ10人。ガルド将軍たちを囲み、槍を前に出して身構えていた。倒れている衛兵は、まだかろうじて全員息があるようだ。 「全兵、槍を納めろ。こいつとは俺が話す」  ルーヴァスの言葉に対し、衛兵たちは槍を納めない。怒りのボルテージが頂点に達し、仲間が死んだと思っているのだろう。 「……俺に二度目はない。槍を納めて引かないものは……どうなるかわかっているな?」  次は殺気を込めて言う。すると、今まで怒りで誰の声も聞こえていなかった衛兵たちが、次から次へと槍を納め退却した。怒りよりルーヴァスへの恐怖が勝ったのだ。  ルーヴァスは容赦がないことで有名だ。自分の命令を聞かないもの、命令以外のことをしたもには罰が与えられる。……すなわち死だ。だからこそ部下からの信頼も厚い。身分が高かろうが低かろうが平等に接するからだ。
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