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衛兵たちが退却したことを確認したルーヴァスは、ガルドたちに目を向けた。
腰の辺りまである長い銀髪を一つにまとめながら、ガルドに問う。
「で、これは何のつもりだ? ガルド」
「もう貴様の下になどつけるものか! 我々は“あの方”の元につくのだ。その条件が貴様の首だっただけ話。衛兵どもは、貴様を誘き寄せるためのエサにさせて貰った」
すると、ガルドは近くにいた衛兵をルーヴァスの方に蹴り飛ばした。
その間、ガルド将軍らを取り囲んでいた衛兵たちが手を出そうとしたが、ルーヴァスに目で制され、歯ぎしりをしながらその場に踏みとどまった。
ルーヴァスはガルドに向き直り、質問を続けた。
「だから、殺さなかったのか?」
「最初に貴様を殺したかったからな。衛兵どもを殺そうが殺さまいが、貴様がここに来るだろう? まぁ、貴様を殺した後、仲良くあの世に送ってやるがな」
何が面白いのかガルドも含め、ガルドの部下たちは笑っている。自分たちが勝てると慢心しているからだろう。
そんな中、ルーヴァスはすぅっと目を細めたかと思うと、その場から消えていた。軽く砂塵が舞っている。
消えた瞬間を見ていたガルドは、ルーヴァスがいた場所を見てただ茫然としていた。しかし、すぐに正気に戻ったようだ。
「な、何!? ルーヴァスめ。部下を見捨て逃げよったな」
無論、ルーヴァスは消えたのではなく、目で追えないスピードで動いたのだが、ガルドは気づいていない。
「ちっ、めんどくさい。プライス、魔力探知で奴の居場所を探してくれ」
ガルドは自分の部下にルーヴァスが消えた所を見ながら命令した。
ところが、いくら待っても魔力探知をしない。ましてや、生真面目なプライスが返事をしないこと事態が異常だった。
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