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そういえばレナソルって名字、なんか聞いたことあるな。何だったっけな……。
俺の表情を見たからか、二人とも黙りこくってしまう。沈黙がしばらく続いた。
「あっ」 俺は突然声を上げる。
「おおっ、いきなりなんだよっ」
アレンは高い声を発しながら反応した。両手を上に上げて体がのけ反っている。いくらなんでも、オーバーリアクション過ぎるだろ。
「お前、王都の宿屋にいる、翡翠色の髪の毛した ウエイトレスさんの弟か?」
名前? 忘れたに決まってんだろ。
「ん? 姉貴を知ってんのか?」
「宿屋で少し話した程度だがな」
「宿屋ってここから何キロあると思って……まあいい。で、なんで少し話した程度で俺のことが出てくんだよ」
「さあな。心配だったんじゃないか?」
「過保護な姉貴め……。少しは自分のことを考えろよ……!」
先程見せていたアレンの笑顔や優しい雰囲気は消え、怒っているような、悔しがっているような、そんな葛藤した表情で、アレンは顔をしかめていた。
それにしてもミラさんとアレンは似てないな。ミラさんの髪は翡翠色だったのに、アレンは橙色だ。顔もそんなに似ていない。
だが首を突っ込まないでおく。人それぞれの事情があるし、無駄な詮索は良くない。
名前? 覚えてるに決まってんだろ。
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