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「お前らこそなんでこんなところ居るんだ?」
『…………』
このラファエルの問いには三人とも押し黙る。アレンとアスナはどうか知らないが、俺はベンチでウトウトしてたらいつのまにか寝てました……って理由だから言うに言えない。
「まぁ大方、そこの紺色の女の子が何かに巻き込まれて、ルークと橙色のお前が助けたってとこか?」
ラファエルの言葉に俺以外の二人はビクッとする。どうやら当たりらしい。勿論俺はそんな格好いいことはしていない。
それにしても鋭いな、この教師。今思えば確かにアスナの服は砂で汚れているような気がした。
というより、なんで俺の名前を覚えているんだ?
ダダダダダダダダダダダダダダダッ
体育館の中から数人の足音がした。音から察するに、かなり急いでこちらに向かって来ているように思われる。
「橙色のお前。そのまま魔法を解かずにいろ。俺が何とかする」
アレンは、ラファエルの言葉に一瞬ハッとなったが、無言で頷いた。
よく考えればわかったことだが、普通にラファエルと会話していたのですっかり忘れていた。
アレンは【シャドーズハイド】という魔法を解いていなかったのだ。
それなのにラファエルは普通に話しかけてきた。アレンの「よしっ、今だっ」という声が聞こえたから話しかけてきたかもしれないが、普通それだけでは人がいるとは断言出来ないだろう。空耳だと受け流す人の方が多いはずた。
また俺でも感知出来ないほど気配を消し、なおかつ髪の色や俺がいることがわかっていた。
つまり、ラファエルにはこの手の魔法が通用せず、気配を消せるほどの強者だということだ。
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