魔法学園入学

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 バタンッ。  体育館の扉が開いたかと思うと、数人の教師が駆けつけてきた。 「あっ、ラファエル先生。……マキがこちらの方で乱れたはずなのだけど、先生がお使いかしらん?」 「ん? ああ、トイレで大してたら力が入ってしまいまして……すみません」  年増(としま)の教師の質問に答えたラファエルだったが、彼女の視線はまだ鋭い。 「力が入った……ねぇ。まだマキが乱れているけど……これも先生の仕業かしらん?」 「こ、これはですね……。俺の魔法が強力過ぎて、まだマキが乱れているんですよ。あはははははははっ」 「おだまりっ!!」  年増の教師の叱咤で笑いを止めるラファエル。年増の教師は鬼のような形相をしたまま続けた。 「校長のコネで魔法学園の教師になった落ちこぼれのくせに……。大体俺の魔法が強力過ぎてって、馬鹿じゃないかしらん」 「なんだとっ!?」  ラファエルは敬語を忘れて声を張る。しかしあんまり怒っているようには見えなかった。 「だってそうでしょう。今では“エルの四剣”なんて呼ばれているけど、あんたはその末っ子。兄や姉のおかげで、今の地位にいるだけじゃないかしらん? 剣術はあっても魔法はからっきし。私に言わせればクズよ、クズ」 「くっ!」 「それに昨日の入学試験。一人の生徒に引き分けになったそうじゃない。一試合に三分もかからないと、大言壮語しておきながらこの様よ」 「アイツは……ルークは強い。はっきり言わせて貰うとミネル先生じゃ勝てないと思います」 「ふっ、私があんな魔法も使えない落ちこぼれ2号に勝てないですって?」  怒りをあらわにするミネル。今にも魔法を放ちそうな勢いだ。  てか、かしらん、かしらんうるさすぎ。かしらんお化けって呼んでやろうか。
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