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「なあ」
横にいるアレンが小声で言う。
「ここ、絶対危ないって。逃げようぜ」
「でも……この状態で動くとマキが乱れている場所が変わるから、ラファエル先生が庇えきれなくなるよ」
「確かにそうだな……」
アレンの提案に否定するアスナ。俺もアスナに賛成だ。マキというのが魔法を使う中で乱れる限り、どうしようもないだろう。
しばらく聞いてなかったが、ラファエルとミネルの会話は続いていた。
「もういいわ。先生に何を言っても無駄だということがわかりました。それならば、先生が庇っている生徒を自力で探します」
そうだそうだ、と便乗する教師数名。もしこの教師たちも俺らのことを探すんなら、自力ではなくなるのではないだろうか?
「【middle・リビアール】」
ミネルが魔法を唱えると、急にアレンが苦しそうになった。どうやら今の魔法、強制的に魔法を解除させる魔法のようだ。
「くっ、くそ」
苦しそうに声を上げるアレン。しかし俺達への配慮か、はたまた自分がバレたくないのかはわからないが、ちゃんと声量をおさえてくれた。
しばらくするとミネルは魔法を解いたようだ。アレンの脂汗が止まり、顔から苦しそうな表情が消える。
「ふんっ。なぜマキが乱れるいるのかはわかりませんが、どうやら本当に誰もいないようね……。今のでケルムを半分も使ってしまったわ」
そう吐き捨てて体育館にそそくさと立ち去るミネル。周りにいた教師たちも彼女に着いていった。
「特に問題はありません。生徒の皆さんは各クラスに行き、自分の席に座って、担任が来るまで待機しておいてください!」
体育館からそんなミネルの大声が聞こえた。しばらくすると、ぞろぞろと生徒が出て来たので、それに紛れて教室に向かった。
どうやらアレンもアスナも一組らしい。ということは、この二人もかなり優秀だということだろう。
それにしてもラファエル……いやラファエル先生には世話になったな。後でお礼言っとくか。
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