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そろそろ銀髪の少女の番が回ってくるな。どこの家の貴族か、一応確認しとくか……。
ガラガラ
とドアが開く音がした。ドアの方を見ると、ばかでかい男がいた。肩で息をしているのを見る限り、走ってここまで来たようだ。……寝坊か?
「ごめんなさい。遅刻しました。ごめんなさい。お詫びはなんでもします。ごめんなさい……」
気小さ過ぎるだろ。
しかもあの体格で。……ん? 深緑の髪。あ、ヤバイなあれは。“奴国”のやつだ。俺は気にしないが、このクラスは貴族が多い。アスナ以上に辛い目に合うかもしれない。
ふとジンが言っていた声が蘇る。
『ちなみに東にある奴国(なこく)には学園をおける場所がないそうだから、一番近い国エンティークの三つの学園にそれぞれ入学するそうだ』
とかなんとか言ってた気がするな。
「スー、スー、スー」
なんだ、この寝息は? 寝ている。ラファエル先生が寝ているし。はぁ……めんどくさいが起こしてやるか。
俺はラファエルの方に指を向け、“力”を少し使って指を曲げる。そしてそのまま弾いた。
すると力の波動は、一直線にラファエルの鼻ちょうちんに飛んでいき、そのままパンッと軽快な音をたてて割れた。
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