魔法学園入学

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  「おっ? ……おおっ!!」  鼻ちょうちんが割られて起きたのは良いが、寝起きでいまいち状況が掴めていないラファエル先生。たが、ドアの前で頭を下げ続けている巨人を見て、椅子からひっくり転げた。 「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……」  今もまだ謝り続けている巨人。ラファエル先生も深緑の髪を見て、奴国のやつと気づいたのだろう。少し真剣な顔になった気がする。 「おい、そこのお前。もう良いから、こっち来て自己紹介済ませろ」 「はい……」  トボトボと教室に入ってくる巨人。奴国の人間は生まれつきかなりゴツく、身体能力も高い。そのため奴隷として使われ続けた訳だが……コイツはその中でも小さい方だな。身長は二メートル弱くらいしかない。だが、体格は群を抜いている。二の腕なんか俺の太もも並みの太さだ。 「み、見てわかるように僕は奴国の人間です……。名前はロイ言います……。よろしくお願いします……」 「奴国の連中に名前があるわけないじゃないかっ。奴らは全員番号で呼ばれているはずだ。貴様番号で名乗れっ!」  誰かと思えば、入学試験のときにすれ違ったボンボンじゃないか。名前は……聞いてなかったな。 「はい……。61番です」  なるほど、それでロイか。
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