魔法学園入学

38/44
前へ
/353ページ
次へ
「あたしの名前は――」  そこで言葉を切る銀髪の少女。なぜなら生徒のほとんどが、笑いをこらえているかのような顔をしているからだ。 「あたしの顔に何か付いているかしら……!」  勿論、皆が笑うのは理由がある。銀髪の少女より若干後ろにいるラファエル先生が、変顔をしているのだ。ただの変顔ではなく、明らかに銀髪の少女を挑発しているかのようだ。  俺はテメーのことなんか恐くないよーだ、と言っているような変顔だ。  そんなことはつゆしらず、なぜ自分だけ笑われるのかと怒りをあらわにする銀髪の少女。たが皆の視線が後ろに向いているのに気づき、そっちを見る。 「…………」  ラファエル先生と目が合う銀髪の少女。今の変顔は両手で口を横に広げ、ベロを上下に動かしている。誰がどう見ても挑発しているように見えるだろう。 「先生はあたしに喧嘩を売っているんですか?」 「いや、これはだな。顔が引き吊っていると言われたから、表情筋を鍛えているんだ。決っして、お前に喧嘩を売っている訳ではないっ」  凄まじい言い訳だな……。
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

198人が本棚に入れています
本棚に追加