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「おい! 次ルークの番だぞ」
人前であまり俺の名前を呼ばないで欲しいだが……。何言っても聞きそうにない。俺ははぁと溜め息をつきながら、席から立ち、前に向かう。
前に立つとかなり見られた。セリーナの件やラファエル先生が、やたら俺の名前を呼ぶからだろう。
「俺の名前はルーク・ルシュファルド。剣術と体術はできるが魔法はできない。よろしく……」
軽く済ませて席に座ろうしたがシスルに阻まれた。
「君は入学試験のときに、ラファエル先生と戦っていたケルムラックじゃないか。なんでエリートの集団の一組に君がいるんだ!」
ケルムラック……。俗に言う魔力無しのことだ。
「知るか」
「なんだその口の聞き方は! このクラスには大貴族を敬う人はいないのか! 奴国の奴も一組に居るし。何なんだ!!」
「俺は余程のことがない限り人を敬わない。ましてお前のようなやつを、今後敬うこともないだろう」
「なんだと!? ボクを侮辱する気かっ!」
「知るか」
俺の物言いに、一人では対応しきれないと考えたのか、シスルは周囲を見渡してセリーナを見つけると、さも仲間のように声をかける。
「セリーナ嬢! 同じ大貴族として、このケルムラックになにか言ってやりなよ」
「あたしを貴方はみたいな人と、一緒にしないでくれるかしら。そこの変態も嫌いだけど、貴方はもっと嫌いだから」
だがセリーナは、何言ってんのこいつ、とでも言っているかのように見下した表情で一蹴した。
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