198人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はこの広さでラファエル先生を探すことは、糸こんにゃくの海から一本のしらたきを捜すことより難し……くはないと思うが、困難極まりないと判断したので、毛ほどないこみゅ力を使っていた。
「あの、すみません!」
「ん、なんだね?」
「一年一組担任の先生(敢えて名前を伏せる)がどこに居られるかわかりますか?」
「……ラファエル先生か。彼は放浪癖があるからな。わしにはわからんな」
「……わかりました。他をあたってみます」
「そうか……。すまんね」
「いえ」
そう言って俺はそそくさと この場を立ち去る。
今の本当ははげているのに、懸命に髪を伸ばして「わしははげとらん」と言いそうな雰囲気の先生に話しかけたのは、これで10人目だ。
ほとんどが放浪癖があるから居場所はわからない、という答えばっかりだった。
中には教師全員の顔と名前が把握できていない先生もいたが……。
ざっと百人いるそうだ。このエンティーク魔法学園には。それならしょうがないと思ってしまう。
……本当にいないなラファエル先生。めんどくさいから帰ってしまおうか。いや、呼ばれたんだから行かないと行けないだろう。
くそっ! こんなことならラファエル先生に、どこに居るか聞いとけば良かった。
最初のコメントを投稿しよう!