散策

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「さっきも一人の生徒……と言っても私の妹なんだけどね、アイツのところに案内したのよ」 「なるほど」  相づちを打つと、女教師は俺に歩くよう促した。ラファエル先生に怒ってはいたものの、案内はきちんとしてくれるようだ。  それより俺以外にラファエル先生に用があるやつがいたのか。……誰だろう。 「それにしても貴方。どこかで見た顔ね。私とどこかで会ったかしら?」 「俺もどこかで会った気がします」 「やっぱり、そうよね! どこだったかしら? ……ん? その刀。なんで帯剣してるの?」 「俺、魔法使えないんで……」  は魔導士大抵、自分専用の武器を魔法で創るそうだ。だから帯剣している生徒の方が少ないかも知れない。  魔導士が魔法で自分の武器を創る理由は、俺が持っている魔法耐性剣(魔剣)と同じで、セカイの狭間に武器をしまえるからだと、前にジンが言っていた。 「へぇ。“だからアイツに用がある”のかな。何々、アイツのファンとか? ならやめた方がいいわよ、アイツ、ヘタレだから」 「いえ、違います!」俺は即答した。 「えっ? 違うの? アイツが“エルの四剣”の一人だから、てっきりファンかと思ったんだけど……」  エルの四剣って何なんだ。今朝も聞いたが……。
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