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果たして何秒たっただろうか。特に合図があって始まるのではなく、二人は剣を構えたまま動いていない。
しかし、倒れていた衛兵の足が数センチ動き、ブーツと砂が擦れ、ジャリジャリっと音がした。
まるでこれが始まりの合図だったかのように、二人は同時に動く。
その筈なのに、ルーヴァスの方が何歩も前に出ていた。
ガキィィィィィィィィン
と激しい金属音が鳴り響いた。初撃はなんとか防いだようだ。だがガルドはつらそうな顔をしているのに対し、ルーヴァスは無表情で、まだまだ余裕が見受けられる。
「ガルド。腕を上げたようだな。俺の剣を防ぐとは……」
「クッ……ほざけ。今更、私にそんなこと言うな。惨めになるだけだ」
正直ガルドは参っていた。今の攻撃は見切って防いだものでなく、半ば反射で剣を動かし防いだものだったからだ。
「……それもそうだな。だが打ち首という願い、俺が叶えやろう」
そう言い終えたルーヴァスは既に消えていた。次にガルドが目にしたのは漆黒の剣が、自らの首に当たるところだった。
そして、視界がグラッと横向きに変わり、頭が地面に落ちていった。周りは全て霞んで見え、顔の感覚がない。
ギロチンのように打ち首をされた者は、少しの間意識があると聞くが、どうやらガルドも意識があるようだ。
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