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「……もういいわ」
ミリーナがそう言って、自分の頭をなで続けてくれたラファエルの手を、軽く掴み横におく。そして立ち上がった。
「わ、わたしは仕事があるから帰るわ。じゃあねセリーナ」
早口でそう言い、風のように帰っていった。
「あ、あたしも帰ります」
「えー、敬語に戻るのかよー」
「先生はこどもですか!?」
「童心に帰っているだけだ」
「もう、いいです。失礼します」
そう言って、セリーナも一瞬で帰っていった。
部屋にいるのは、男二人。片やイタズラ大魔王の異名を持つ男(ラファエル)。片やちょっと反応が薄い一般人(ルーク)。だが、その反応の薄さから一転、夜はとんでもない激しいステップを踏む。
次号、二人の愛は結ばれるのかっ。
――ってどこの三流BLだよ……。
はぁあ、起こすか……。
「おい、ルーク。起き――」
途端いきなり目の前に、鉄製の刀が光る。突然の攻撃にラファエルは対処できなかった。そのくらい、一切無駄のない居合い斬りだった。
だが、首の皮一枚のところで刀は止まる。
「すみません。先生でしたか……」
方膝をついた状態で、刀をラファエルの首に当てたまま、ルークは呟く。はぁと溜め息をついたかと思えば、刀を納刀して立ち上がった。
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