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「すみません。体が反射的に動きました」
「いや、大丈夫だ……」
(寝起きでどうやったら、体が反射的に動いて、居合い斬りなんかができるんだよ。しかも、あの抜刀スピード。おそらく0.1秒もかかっていないぞ。
そう言えばなんでコイツ呼んだんだったかな。……ああ、いや、思い出した)
「ルーク。話がある」
「はい」
ラファエルの雰囲気が変わったことに、ルークも気づいたようだ。とりあえず汚い部屋をかき分け、椅子があるとこまで行って座るようルークに促す。
そしてルークと対面した。
「単刀直入に聞くぜ。シスルを吹き飛ばした時の“アレ”、どこで誰に習った?」
「……あれは“多分”俺の師匠と呼んでいる人から習いました」
「多分ってどういうことだ?」
「すみません。数年前の記憶はどうも曖昧で……」
「おいおい、ちゃんと飯食って寝てるのか?」
「数年前は、あんまり……」
「ちょっと、手見せてみろ」
そう言ってルークの手を見ると、さすがに驚いた。手の豆は潰れて、またできて、また潰れてを繰り返したのか、皮手袋のようになっている。
もちろんラファエルもなってはいるが、十六歳のときはここまでじゃなかった。せいぜい、指の付け根にできていたくらいだ。
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