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そして、ガルドは虚ろな目をルーヴァスに向け、頭の中に直接話してきた。
『……貴様、最後に……私の願いを……叶えるとは……甘くなった……ものだな』
そう言い残し、ガルドは死んだ。ルーヴァスは死体に火属性魔法を放ち、「初めてお前と意見が合ったな、ガルド」と今なお燃える死体に向けて言った。
愛剣「イモータル」を鞘に戻し、燃える死体に背を向けたルーヴァスは、ガルドの部下たちにも火属性魔法を放ち、死者への弔(とむら)いを済ませた。
「カイス。衛兵たちに治癒魔法をしておいてくれ。俺は自室に戻る」
「承知いたしました」
カイスはルーヴァスに深々と頭を下げた。カイスが次に頭を上げたときには、もうルーヴァスの姿はなかった。
★ ★ ★
自室に戻ったルーヴァスは窓から月を眺めていた。そして、「あの方か……」と呟いていた。
「さて、あの少年はどうしているだろうか。今後の計画を邪魔してこなければ良いのだがな」
不可解なことを独白した彼は、不敵な笑みを浮かべる。
その後、瞬く間に闇へと消えて行ったのであった……。
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