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「ね、念のために聞いてあげるわっ! 何番だったのよ?」
「五十三」
「五十三っ!? ……サイアク、なんで五十三なのよっ! 隣じゃないの!!」
「知るか。文句なら校長とかいう役職の人に言え」
「うっさいわねっ!」
「うるさいのはお前の方だ」
俺はそう言ってリフトに向かう。リフトとは雷属性の磁力魔法を応用したもので、上下のみに移動する乗り物である。
「ま、待ちなさいっ!」
俺がリフトに乗り込むと、セリーナも駆け込んできた。薄い青みがかった銀髪がボサボサになっている。
「何階だ?」
「番号見たでしょ。五階よ。そんなのもわかんないわけ?」
そいつは悪かったな。
狭いリフト内で沈黙が生まれる。ちなみにリフトは物凄く遅い。磁力魔法で上げたり下げたりするから、危険が伴うため速く移動できないのだ。
階段使えば良かった……。
会話をしないのもあれなので、顔を動かし話題を探す。するとセリーナはビニール袋を持っていることに気がついた。
「なぁ、まだ喋っていいのか?」
「そ、そうね……。特別に許してやらないこともないわ。……てかさっきから何見てるのよっ! 変態っ!!」
平常心、平常心……。この程度で怒るな、俺。
「なんで食材が入った袋持ってんだ?」
「はぁ!? 貴方、入学式で話聞いてないの? もしかして寝てたとかじゃないでしょうね……!」
いや、そもそも入学式に参加してないから。
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