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ドアを開けると息切れしたセリーナがはぁはぁ言っていた。さすがに心配になり「大丈夫か?」とかけたが返事がない。
そしてセリーナは倒れた。……俺の方に。
はっ? となったが、昔の修行仲間に、体力がないくせに無駄に頑張るやつがいたので、そいつと一緒だろうと思い、優しく受け止める。
どんな勢いでドアを叩いたら、倒れるまでになるんだよ……。それとも体力がないのか?
とりあえず玄関で倒れたまんまで放置するのはアレだと思い、自分の部屋に運ぶ。そのときに視線を感じたが無視した。
ん?
セリーナを寝室のベットに寝かせると、セリーナが何かを持っていたのに気がついた。たが、何か分からないのでベットの横の台に置く。
セリーナの額に手をやると熱はなかった。俺はコップ一杯の水を台の上に置き、今日のメニューをこなすため寝室を出る。
そして五セット目の腕立て伏せを開始した。
★ ★ ★
ど、ど、どうしよう!?
どうして自分がベッドの上で寝ているのかわからないまま起き上がると――
ビュンッ!
と凄い音が聞こえた。ついでに「555、556、557……」と数を数える声が聞こえる。 このビュンッ! って音と、数を数える声はまさか……アイツッ!?
そこから導き出される答えは、ここがルークの部屋だということ。
まさか襲われたのかと思い、セリーナは慌てて確認したが、それらしき痕跡は見つからない。
よくよく考えて見ると、自分がルークの部屋の前で倒れたのを思い出し赤面する。
さらに台の上に水の入ったコップがあり、セリーナは水分を欲していることに気がつく。そしてルークがこれを用意したと分かり、赤面度合いが増えていった。
(なんでこんなことになったのよ……)
セリーナは今の自分の置かれた状況に嘆きつつ、こうなった経緯の回想を始めた。
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