ヒナマツリ

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「あれは? あの鳥の置物、ここに来るまでにも何度か見かけましたが、あれはこの村の名物や特産品ではないんですか?」 私は、部屋の片隅に置かれている、クチバシを大きく開けて上を向いている鳥の置物を指さした。 「ああ、『ヒナマツリのお雛様』ね」 「ヒナマツリ? って、あのひな祭りですか?」 私の知っている『ひな祭り』は、お内裏様やお雛様といった日本人形の置物で、あんな鳥の置物ではない。 「この村独特の文化でね、『雛奉り』と言ってこの村の守り神でもある大鳥様に雛を奉(たてまつ)る習わしがあるのよ」 そう言って女将は『雛奉り』について語り出した。 .
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