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この村――大鳥村は、名前からもわかるとおり大鳥様という神様を守り神として崇めていた。
ところがこの神様、なかなか子宝に恵まれず、雛が孵らなかった年は守り神としての役目を果たさず、どこかへ飛んでいってしまった。
そうなると、村を飢饉や疫病が襲い、多数の犠牲者が出たのだという。
そこで、大鳥様にちゃんと守り神としての役目を果たしてもらうために、雛をかたどった置物、『お雛様』をお供え物として奉納する習慣ができたのだそうだ。
なるほど、確かにあの鳥の置物は、雛が親鳥に餌を求めているように見える。
だが、とてもじゃないがあれをお土産に持って帰りたいとは思わない。
あの置物を村の特産品にするのは多少無理がありそうだ。
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