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「あが……あがっ!」
吐瀉反応に涙を流しながら思った。
これは、親鳥が雛のために自分が食べて半分消化したものを与える、あの行為ではないだろうか?
まさか……!
そうか、私はあの『雛奉りのお雛様』のかわりに大鳥様へ差し出された『雛』なのだ。
大方、昨日の酒か料理に睡眠薬でも盛られたのだろう。懸賞の招待旅行は、村興しのためなどではなく、大鳥様への生贄を手に入れる餌だったのだ。
怪鳥は、胃の中のものを全て注ぎ終えると、クチバシを抜いて一声鳴いた。
「ギャー!」
そして再び空へと舞い上がると、山の向こうへと消えていった。
「お、おえ!」
私は、先ほど胃に注がれたものを吐き出した。
見ると、蛇の鱗やネズミの頭などが混じっている。
「うげぇぇぇ」
それを見て、再び吐いた。そして吐きながら思った。
私は、ここで死ぬのだろうか? もう生きては戻れないのだろうか?
口にあの大きなクチバシを突っ込まれ、勢い余って体ごと貫かれて死ぬのだろうか?
それとも、何かの拍子で私を敵と見定め、あの鋭い爪で体を引き裂かれて死ぬのだろうか?
ただ……
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