無口な風澄紗夜

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ふと彼女が俺をじっと見つめている事に気づく。まじまじと見つめ合ってみると本当に日本人形のような透き通るような白い肌に真っ黒な黒真珠のような大きな切れ目の二重の瞳。ニキビどころかシミひとつない、正直初対面ながら背筋にゾクッと来るものがある。それは美しいものを見たからか、人から離れすぎたモノへの恐怖かはわからないが。「なに?」思わず上ずってしまった、こんなにも女の子が至近距離で顔を近づけるなんてことは人生の今までなかったことだ、緊張しないなんて無理な話だ。 すると彼女は急に視線を恐怖の心霊スポット100選に移してものすごい速さでページをペリペリとめくって行く。そしてあるページにたどり着く。そこには紅いペンでおおきく丸印がついている。内容は、どうやらここの近くのようだちょうど引っ越す途中に高速道とから見えたあの真っ黒に汚れた建物だ。ここの真っ黒は壁の塗装の色ではない、年月を経て付いた汚れやシミや何か得体のしれない触りたくないあの汚れの数々だ。
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