無口な風澄紗夜

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この行事、いや作業はなかなか馴染めるものではない。7月3日もうじき夏休みだ。こんな奇妙な?お騒がせな?時期に転校の自己紹介をしなければならないのだ。理由?別に普通だ。僕がこの地区に派遣された国家の秘密の特別の組織の一員だとか、謎の妖怪、異界人、その他もろもろのオカルトとは何の関係もない普通の親の仕事での転校だ。きっとこの教壇に立っている俺をキラキラと「何か」を持ってる、運んでくる、退屈なお決まりの代わり映えのしない日常をぶっ壊してくれる何者かと期待しているこれから共に勉学に励む眼前の34人の同胞達には本当に申し訳ない。俺は普通の転校生だから、そんな目で見ないでくれ。やぱっり慣れない。「それじゃあ、自己紹介をお願いできるかな?」緊張しているのはむしろ俺だ。だのに確か‥‥‥山岸だったか、先ほど軽く紹介された担任になるであろう若い、と言っても30前半のちょうど最近結婚を終えたばかりの人生の絶頂と言わんば
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