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この鞄も丁寧に扱われているのだろうまだ光沢がツヤツヤと真新しさを主張している、といってもまだ一年の七月だが。彼女が立ち上がるとその線の細さが一層引き立つ、胸はかなり控えめでお尻もかなり小ぶりだ。上品といえば上品だがむしろ触れば、途端に崩れてしまいそうなほどだ。それに何か独特で気温が周囲と2,3度ほど低いような気もする。時間もゆっくり動いてるような気もする。その二重の切れ目もどこか妖しくて鼻、口とバランスがいい。多分一番彼女の顔あらわすのに適した言葉はきっと「日本人形」みたいだろう。容姿は何かの花の茎のようだ。
「えっと確か風澄紗夜さんだよね?よろしく」教室の戸へ向かって歩く。コクリと彼女は頷いて左胸のポケットに付けられている名札を指差す。あまり口数が多い子ではないようだ。それから校舎を案内してもらった。
まず職員室、そして体育館、音楽室、食堂、そのたもろもろ。しかし彼女は一言も喋らない、部屋の扉の上部にある部屋のプレートの無言で指差すだけだ。
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