一章 始まりの小唄

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土「総司寒い。とっとと襖を閉めろ。」 その憎たらしいほど綺麗な顔を歪めながらこちらを向く、彼、土方歳三。 いつもなら、嫌味の一つ言うところだか、思ったより自分に余裕がない。 剣の才能に恵まれていると言われ、対比した敵に逃げられたことなど皆無。 初なだけに堪えたらしい。 沖「何者なんでしょう。奴は。」 土「知らねぇよ。お前が取り逃がした奴なだけに実力は相当だろうな。まぁ、佐野内のおっさんが消えてくれたことは嬉しいことだ。」 と答える土方さんはいつもの企んだような笑顔だった。 次は必ず逃がさない。 そう心に誓いながらも、 寒い廊下に戻った。
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