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一方、三条通りにある、ある宿
夜久side
「夜久、佐野内は?」
「殺った。」
室内で、寛ぎながらも刀の手入れをする男をよそに
血が乾き始めた着物を脱ぎ身体を恥ずかしげもなく晒せば、眠そうに目を擦る
切実に眠い。
「あーあ、まったく、無気力無頓着なのもいい加減にしてほしいものだねえ。明日、新撰組にいくんだからね。」
「もう会った。明達どこ。」
着流しを身に纏いながらも煙管を手に持てば、窓際の壁に身体を預け月を見ながら問う。
「えっ??‥ああ、仕事だよ。明日には帰って来るんだ。あ、愛想よくしてよ。ほら、番犬同士さ、
殺しは流石にマズイだろ?」
「明智、顔。」
無駄に整った顔を存分に歪めヘラヘラと笑うこの男には心底関わらない方が良いと脳が指令を出す。
「ああ、御免よ。明日が待ち遠しくてね。」
「寝る。」
ああ、面倒だ。
子犬には興味はない。
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