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「手伝う」
「えっいいです。一人でできます」
当時、私は母親の言う通り男に負けないくらい働いて、対等な社会的地位を築いてやろうなんてそればかり考えていた。
女だからって甘く見られたくなかった。
それにこれは自分が起こしたミスだ。誰にも頼りたくなくて一人で解決したかった。
意固地になって書類を取り戻そうとする私の手から部長はさらに書類を上へと遠ざけた。
「お前は迷惑をかけたくないと思うかもしれないが、そうやって一人で抱え込まれることで周りの仕事も滞って全体に支障をきたすことになる。仕事では余計な意地は捨てろ」
まっすぐ射るように見据えられて私は返す言葉を失くした。
全くその通りだった。
入社半年の小娘にできることはまだ少ない。
仕事のことを最優先に考えれば、早く解決できるよう誰かに頭を下げて助けてもらうべきだった。
それを私は自分のプライドのために意固地になって一人でできるような顔をして仕事を抱え込んでいた。
それが周囲にどれほど影響して、反対に仕事を停滞させてしまうかも考えずに。
独りよがりの己に恥じて、俯いて肩を竦ませるしかない。
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