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「真鍋さーん、今日いつ仕事終わるんですか?」
私が外回りから帰ってきたら、自分の席の前を若い女の子三人ほどが占領していた。
その眼差しは私の隣の席に座る真鍋さんに向けられていて、彼は甘い熱視線を受けても爽やかに微笑む。
「そうだな、ちょっと仕上げなきゃいけない仕事があるから今日は残業かな」
「えー、前もそう言ってたじゃないですかぁ」
「そうだっけ?ごめんなー。俺も飲みに行きたいんだけどさ」
と柳眉を下げても、絵になる色男。
行く気がないのにそんな申し訳なさそうな顔をされたら、女としても反感よりむしろ好感のほうが上がる。
女子たちが「じゃあいつなら空いてるんですか?」と前のめりになった時、私は傍観していた入り口から歩みを進めて、その子たちの背後に立った。
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