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「お疲れ様です」
「ああ」
部長は表情一つ変えず無表情のままで私に頷くと、そのまま歩いて自分のデスクのある部屋に向かっていった。
部長のデスクは営業部の一角に仕切られているものの透明なガラスだから丸見え。
何でもオープンにしていこうという会社の方針らしいけど、ただ単に監視のためだろなんてみんなは悪態をついている。
部長は自分の部屋に入ると席に腰掛けて鞄から出した書類に目を通していく。
今日も凛々しくていらっしゃる。
漆黒の髪に鋭くきりっとした双眸。
通った鼻筋。
端正な顔立ちだけど、一切表情がない鉄仮面ぶりは健在だ。
営業部本部長は多忙でなかなか会社にいることも少ない。
久しぶりに見たその姿をいけないと思いつつ遠目で観察する。
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