貴方がいつも遠くて(後編)

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翌日は午後から移動し、本社のリーダーと打合せのあと時間が空いたので千秋に電話入れてみた。 「よう、元気か。」 「べつに。」 この声は明らかに落ち込んでいるか怒っている感じだ。 「ん、なにかあったか?」 「べつに。」 なにかあったらしい。 「そうか、今おれな新橋。 東京出張中なんだわ。 ちょっと時間空いたから飲みに行こうかと思ったのはいいけど今1人でな、 お前が呼び出せれば一緒に飲みにいくとこなんだけど、そうもいかないからな。 で、せっかくだからなんかお前、お土産、なんか欲しいものあるか?」 「べつにいらない。 せっかくだから私なんかと電話してないで東京の女の子と遊んで来れば。」 「え、そう、そうだな。 でも、こっちの女の子とどうやって友達になりゃいいんだ?」 「知らないわよそんなの。 翔大なら誰かいるんじゃないの?」 なんだ、今日はえらく機嫌悪いな。 やっぱり一昨日なにかあったのか? 「何言ってんだよ。 そう、昨日吉永にお前が変だったって聞いたんだけど、ほんとになんかあったのか?」 「べつに。」 「そうか、またそっち戻ったら飲もうぜ。 嫌なことなんかパーっと…」 「バカじゃないの。」 「…え? おい、マジでどうしたんだ。」 「なんでもないわよ。 べつに翔大が誰と何してようと私には一切関係ないって、それだけのことよ。」 ブツッ プー プー プー 「おい、千秋。 なんだ? 勝手に切りやがって。」 オレが誰かと何かした? ん? なんだか解らん。 解らんけどなんかコッチも気分悪くなった。 翌日からこっちの担当と打ち合わせやら引き継ぎやらの話で忙しくなった。 いよいよ、こっちに来たらなかなか帰れなくなりそうだ。 そうなると、マジで千秋とも会えなくなるのか。 いや、あんな奴知るか。 あんな色気も無く、可愛げもなく… いや、少しは女らしくなったのは認めてもいいが、でもなんか違う。 あいつのいいところはよく知ってる。 あいつもおれの事をよく知ってる。 でも、やっぱり彼女とか恋人とか どうしてもイメージ出来ない とりあえず、なんか気に触ったんだろうからメールでも打っとくか。 何度かのメールのやりとりで、14日にまた水族館で会うことになった。 引っ越しのこと、うえちんの二次会のこと、それから… キチンと考えないと。
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